のしいか所長見積書のたたき台や議事録の要約に、生成AIを使い始めた建設会社が増えてきました。



便利なのは分かるけれど、うちの図面や職人の名簿を貼り付けてしまって大丈夫なんだろうか・・



そこが一番の勘所です。この記事では、建設業の実務で生成AIを使うときに入力してはいけない情報と、その法的な根拠を整理します。
建設業で生成AIが使われている場面
実際にご相談を受けるのは、次のような使い方です。
- 見積書や工程表のたたき台をつくる
- 作業手順書、施工要領書の下書き
- 打合せ記録や議事録の要約
- 求人票や就業規則の素案づくり
- 補助金・助成金の申請書の文章づくり
入力する前に確認したい3つのこと
① その情報は個人情報ではないか
個人情報保護委員会は、令和5年6月2日に「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」を公表しています。個人情報取扱事業者に対して、次の2点を求めています。
・個人情報を含むプロンプトを入力する場合、あらかじめ特定された当該個人情報の利用目的を達成するために必要な範囲内であることを十分に確認すること
・生成AI提供事業者が当該個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認すること
② 第三者提供にあたらないか
個人データを生成AIサービスに入力する行為が、個人情報保護法上の第三者提供に当たる場合があります。当たるとすれば、原則としてあらかじめ本人の同意が必要です。
③ 営業秘密として守れなくなるおそれはないか
こちらは個人情報とは別の話です。原価の内訳、積算の根拠、独自の施工ノウハウ、図面といった情報は、不正競争防止法上の営業秘密として保護され得ます。ただし保護されるには、秘密として管理されていること(秘密管理性)が必要です。
社員が自由に生成AIへ貼り付けられる状態を放置していると、「秘密として管理する意思が従業員に認識できる状態だったのか」が問われかねません。いざ情報が外部に流出したときに、営業秘密としての保護を主張しにくくなるということです。
「AI新法ができたから対応が必要」ではありません
2025年5月28日に「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」(いわゆるAI新法)が成立し、同年9月1日に全面施行されました。



「AIの法律ができたそうだが、うちは何をすればいいのか」というご相談をいただきますが、当面気にすべきは個人情報保護法と不正競争防止法のほうです。新しい法律よりも、これまでの枠組みで考えるほうが実務に即しています。
士業に預けた情報はどうなるのか
行政書士は行政書士法第12条、社会保険労務士は社会保険労務士法第21条により、業務上知り得た秘密を漏らしてはならない守秘義務を負っています。この義務は、資格を離れた後も続きます。



士業に依頼される際は、その事務所が生成AIをどう扱っているかを尋ねていただいて構いません。答えられない事務所に、大切な情報を預ける必要はないと思います。
今日からできる3つのこと
- 「入れてよい情報・いけない情報」をA4一枚のルールにまとめ、社内に周知する
- 使っている生成AIサービスの利用規約で、入力内容が学習に使われるかを確認する
- 学習に使われない契約形態(法人向けプラン等)を選び、個人の無料アカウントでの業務利用は避ける



生成AIは、使わないという選択より、決めて使うほうが現実的です。禁止すると隠れて使われるだけで、かえって管理できなくなります。



社内ルールの整備や、就業規則への位置づけについてもご相談を承っております。どうぞお気軽にお声がけください。
参考
最終更新日:2026年8月20日(全面的に書き改めました)
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