千葉県の入札参加資格審査申請や建設業許可申請では、官公庁のサイトからExcelの様式をダウンロードして使う場面が数多くあります。ところが、いざ開いてマクロで印刷しようとすると、画面上部に赤い帯で「セキュリティ リスク このファイルのソースが信頼できないため、Microsoft によりマクロの実行がブロックされました。」と表示され、そのままファイルが閉じてしまう——このご相談を、当事務所でも繰り返しいただいております。
結論から申し上げますと、Excelの側で操作しても解決しません。エクスプローラーでファイルを右クリックし、「プロパティ」から「ブロックの解除」にチェックを入れるのが正しい対処です。所要時間は30秒ほどです。
本記事では、その具体的な手順に加えて、なぜこの表示が出るのか、ZIPで配布された様式の場合はどうするか、何度も使う様式を毎回解除せずに済ませる方法、そして「解除してはいけないファイル」の見分け方まで、実務で必要になる範囲をまとめました。
1. まず結論:ファイルの「プロパティ」から解除します
次の手順で解除できます。Windows 10・Windows 11 のいずれも同じです。
- ブラウザで様式をダウンロードします。このとき「開く」ではなく「保存」を選び、いったんパソコンに保存してください。ブラウザから直接開くと一時フォルダに展開されてしまい、解除の操作ができません。
- エクスプローラーで保存したファイルを表示し、右クリック →「プロパティ」を選びます。
- 「全般」タブの一番下に、「セキュリティ: このファイルは他のコンピューターから取得したものです。このコンピューターを保護するため、このファイルへのアクセスはブロックされる可能性があります。」という一文があります。
- その右側にある「ブロックの解除」にチェックを入れます。
- 「適用」→「OK」の順にクリックします。
- ファイルを開き直します。今度は黄色い帯で「セキュリティの警告 マクロが無効にされました」と出ますので、「コンテンツの有効化」を押してください。これでマクロが動き、申請書類の印刷ができるようになります。
なお、上記4の「セキュリティ」の項目そのものが表示されない場合は、すでに解除済みか、そもそもブロックの対象になっていないファイルです。その場合は本記事の「5. 『ブロックの解除』が見当たらないとき」をご覧ください。
2. なぜブロックされるのか ―「Mark of the Web」という仕組み
Windowsは、インターネットからダウンロードしたファイルに対して、「これは外部から来たファイルです」という目印を自動的に付けています。これを Mark of the Web(MOTW/ウェブのマーク)といいます。ファイルの中身とは別に、ファイルの属性情報として記録されるものです。
Microsoftは、マクロを悪用したウイルス感染が多発したことを受け、2022年4月から段階的に、この目印が付いたOfficeファイルのマクロを既定でブロックする方針に切り替えました。Word・Excel・PowerPoint・Visio については2023年1月10日までに全面展開が完了しています。つまり、これは不具合ではなく仕様であり、Excelを最新版に更新しても解消しません。
対象となるのは、Windows版の Access・Excel・PowerPoint・Project・Publisher・Visio・Word です。Mac版、iPhone/Android版、およびブラウザで使うWeb版のOfficeは対象外です。
やや細かい点ですが、この目印はNTFS形式でフォーマットされたドライブにのみ記録されます。FAT32形式のUSBメモリを経由すると目印が消えるため、「USBに入れて別のパソコンで開いたら普通に動いた」という現象が起きることがあります。ただし、これは目印が消えているだけで、ファイルの安全性が確認されたわけではありません。
3. 「黄色い帯」と「赤い帯」は別物です
実務で最も混乱を招くのが、この2つの警告表示の違いです。見た目が似ているため同じものと思われがちですが、意味も対処法もまったく異なります。

| 黄色い帯 | 赤い帯 | |
|---|---|---|
| 表示される文言 | セキュリティの警告 マクロが無効にされました | セキュリティ リスク このファイルのソースが信頼できないため、Microsoft によりマクロの実行がブロックされました。 |
| ボタン | 「コンテンツの有効化」がある | 「詳細情報」しかない |
| 意味 | 念のため止めている状態 | 外部由来の目印が付いているため遮断している状態 |
| 対処法 | ボタンを押せばすぐ使える | ファイルのプロパティから解除が必要 |
赤い帯には「コンテンツの有効化」ボタンがありません。Excelの画面をいくら操作しても解除できないのはこのためです。「ボタンが見当たらない」とご相談をいただくことが多いのですが、そもそも用意されていない、というのが答えになります。
4. ケース別の対処法
ZIP形式で配布されている様式の場合
ちば電子調達システムの共通様式など、複数の様式がZIPファイルにまとめて配布されているケースがあります。この場合、ZIPファイル自体に付いた目印が、展開後の一つひとつのファイルにも引き継がれます。展開してからExcelを1ファイルずつ解除するのは大変です。
おすすめは、展開する前にZIPファイルの側で解除してしまう方法です。
- ダウンロードしたZIPファイルを右クリック →「プロパティ」
- 「ブロックの解除」にチェック →「適用」→「OK」
- そのあとでZIPを展開(すべて展開)する
この順番であれば、中のExcelファイルには目印が付かず、一つひとつ解除する手間がなくなります。すでに展開してしまった場合は、展開後のフォルダを削除し、ZIPファイルから上記の手順をやり直すのが確実です。
メールの添付ファイルで受け取った場合
メールに添付されたマクロ付きExcelも、同じくブロックの対象になります。手順自体は同じですが、この場合はまず「本当に解除してよいファイルか」を確認してください。取引先や官公庁を装ってマクロ付きのExcelを送りつけ、利用者自身に解除させてウイルスに感染させる手口が実際に存在します。詳しくは本記事の「6. やってはいけない対処」で触れます。
ブラウザから直接「開く」を選んでしまった場合
ダウンロード時に「開く」を選ぶと、一時フォルダにファイルが置かれるため、プロパティから解除しても次に開いたときには元に戻ってしまいます。いったん「保存」してデスクトップや任意のフォルダに置いてから、解除の操作をしてください。
5. 「ブロックの解除」が見当たらないとき
プロパティを開いても「セキュリティ」の項目や「ブロックの解除」が表示されない場合、次のいずれかが考えられます。
- すでに解除済み、または目印が付いていない 社内の共有フォルダ経由で受け取ったファイルなどは、そもそも目印が付きません。この場合、赤い帯が出ている原因は別にあります。
- FAT32形式のUSBメモリなどに保存されている 前述のとおり、この形式では目印が記録されません。
- 勤務先のパソコンで、管理者がポリシーを設定している 企業や自治体のパソコンでは、情報システム部門がグループポリシーでマクロの動作を一律に制限していることがあります。この場合、利用者側の操作では解除できません。自己判断で回避しようとせず、情報システムのご担当者にご相談ください。
6. 何度も使う様式は「信頼できる場所」に登録する
入札参加資格審査申請や経営事項審査の時期になると、同じ様式を何度もダウンロードし直すことになります。そのたびに解除するのが手間だという場合は、Excelの「信頼できる場所」に専用フォルダを登録する方法があります。
- あらかじめ、官公庁の様式専用のフォルダを1つ作ります(例:ドキュメント内に「入札様式」フォルダを作成)。
- Excelを開き、「ファイル」→「オプション」→「トラスト センター」→「トラスト センターの設定」→「信頼できる場所」と進みます。
- 「新しい場所の追加」をクリックし、1で作ったフォルダを指定します。
- 以後、そのフォルダに保存した様式は、解除の操作なしでマクロが動きます。
ただし、設定にあたっては次の点にご注意ください。「信頼できる場所」に指定したフォルダの中のファイルは、外部由来かどうかのチェックが一切行われなくなります。そのため、
- 「ダウンロード」フォルダやデスクトップ全体を指定しないでください。あらゆるダウンロードファイルが無防備になります。
- 専用のフォルダを作り、官公庁のサイトから取得した様式だけを置くようにしてください。
- 「サブフォルダーも信頼する」のチェックは、必要がなければ外しておくほうが安全です。
7. やってはいけない対処
インターネット上には手軽な「解決策」も出回っていますが、次の2つは避けてください。
マクロの設定を「すべてのマクロを有効にする」に変更する
トラスト センターの「マクロの設定」で、この項目を選べば確かに警告は出なくなります。しかしこれは、今後開くすべてのExcelファイルについて、どこから来たものであってもマクロを無条件で実行するという設定です。Microsoftも推奨していません。1つの様式を使うために、パソコン全体の防御を外すことになります。
出所のわからないファイルのブロックを解除する
この警告は本来、利用者を守るための仕組みです。解除してよいのは、自分が、公式サイトのURLを確認したうえで、自分の意思でダウンロードしたファイルに限られます。
逆に、次のようなファイルは解除しないでください。
- 心当たりのないメールに添付されていたExcel・Word
- 取引先を名乗るメールに突然添付されてきた「請求書」「発注書」「見積書」の類
- ファイルを開いたときに「編集を有効にしてください」「コンテンツの有効化を押してください」とファイル内の画像で誘導してくるもの
3つ目は特に典型的な手口です。正規のファイルが、わざわざ画面の中で操作を指示してくることはありません。
8. ちば電子調達システムをご利用の方へ
千葉県の「ちば電子調達システム」では、システム添付用ファイルや共通様式がExcel形式・ZIP形式で配布されており、本記事の対処がそのまま当てはまります。特に共通様式はZIPでまとめて配布されるため、「4. ケース別の対処法」でご紹介した、展開前にZIPごと解除する方法をおすすめします。
なお、ちば電子調達システムは令和8年5月7日から新システムに切り替わり、受注者ポータルのURLも変更されています。ブラウザの事前設定も必要になりますので、あわせてご確認ください。

9. よくあるご質問
Q. ブロックを解除しても大丈夫でしょうか。
A. 千葉県や国土交通省など、公式サイトのURLをご自身で確認したうえでダウンロードした様式であれば、問題ありません。判断の基準は「そのファイルを、自分が、どこから取得したかを説明できるか」です。説明できないファイルは解除しないでください。
Q. Excelを最新版にすれば表示されなくなりますか。
A. いいえ。これは不具合ではなくMicrosoftが意図して設けた仕様ですので、更新しても変わりません。むしろ新しいバージョンほど確実にブロックされます。
Q. 一度解除したのに、また同じ表示が出ます。
A. 同じ様式を再度ダウンロードすると、新しいファイルには改めて目印が付きます。解除はファイル1つずつに対する操作ですので、ダウンロードのたびに必要です。頻繁に使われるのであれば、「6. 信頼できる場所」の設定をご検討ください。
Q. Macでは同じ問題は起きますか。
A. Mac版のOfficeは、このブロック機能の対象外です。ただし別の形でマクロの警告が表示されることはあります。また、官公庁の様式にはWindows版Excelを前提としたものが多く、Macでは正しく動作しない場合がありますのでご注意ください。
Q. 会社のパソコンで「ブロックの解除」が押せません。
A. 情報システム部門がポリシーで制限している可能性が高い状況です。利用者側での回避は避け、ご担当者に「官公庁の申請様式でマクロを使う必要がある」旨をお伝えのうえ、対応をご相談ください。特定のフォルダを信頼できる場所として登録してもらう、といった対応が一般的です。
Q. どうしても動きません。
A. マクロのブロック以外に、Excelのバージョンの違いや、様式そのものの不具合が原因のこともあります。申請期限が迫っている場合は、無理に解決を試みるよりも、様式の配布元(千葉県の担当課など)に直接お問い合わせいただくほうが早い場合があります。
おわりに
入札や許認可の申請では、期限の直前にこうしたパソコン側のトラブルに足を止められることが少なくありません。当事務所では、建設業許可・経営事項審査・入札参加資格審査申請の代行にあたり、こうした実務上のつまずきについてもあわせてご案内しております。お困りの際は、お気軽にご相談ください。
参考・出典
- Microsoft Learn「インターネットからの Office ファイル内のマクロをブロックする」
https://learn.microsoft.com/ja-jp/deployoffice/security/internet-macros-blocked - 千葉県電子自治体共同運営協議会「ちば電子調達システム:マニュアル・様式」
https://www.e-chiba.org/chiba-chotatsu/yousiki1.html - 千葉県「ちば電子調達システム」
https://www.pref.chiba.lg.jp/jousei/kensetsukouji/system/index.html
※ 本記事は2026年8月時点の情報に基づいています。掲載内容が現行の取扱いと異なる場合がありますので、実際のお手続きにあたっては配布元の最新の案内をご確認ください。


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