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建設業で生成AIを使う前に|入力してはいけない情報と守秘義務

2026 9/10
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建設業
2023-04-02
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  4. 建設業で生成AIを使う前に|入力してはいけない情報と守秘義務
のしいか所長

見積書のたたき台や議事録の要約に、生成AIを使い始めた建設会社が増えてきました。

便利なのは分かるけれど、うちの図面や職人の名簿を貼り付けてしまって大丈夫なんだろうか・・

のしいか所長

そこが一番の勘所です。この記事では、建設業の実務で生成AIを使うときに入力してはいけない情報と、その法的な根拠を整理します。

目次

建設業で生成AIが使われている場面

実際にご相談を受けるのは、次のような使い方です。

  • 見積書や工程表のたたき台をつくる
  • 作業手順書、施工要領書の下書き
  • 打合せ記録や議事録の要約
  • 求人票や就業規則の素案づくり
  • 補助金・助成金の申請書の文章づくり

いずれも業務としては自然な使い方ですが、顧客の情報、従業員の情報、原価の情報が混ざりやすいという共通点があります。手元の資料をそのまま貼り付けたくなる場面ばかりです。

入力する前に確認したい3つのこと

① その情報は個人情報ではないか

個人情報保護委員会は、令和5年6月2日に「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」を公表しています。個人情報取扱事業者に対して、次の2点を求めています。

・個人情報を含むプロンプトを入力する場合、あらかじめ特定された当該個人情報の利用目的を達成するために必要な範囲内であることを十分に確認すること
・生成AI提供事業者が当該個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認すること

建設業でいえば、従業員名簿、健康診断の結果、下請業者の職人さんの名簿、施主のお名前や住所などが該当します。「作業員名簿を貼って安全書類を整えてもらう」といった使い方は、この注意喚起に真正面から当たります。

② 第三者提供にあたらないか

個人データを生成AIサービスに入力する行為が、個人情報保護法上の第三者提供に当たる場合があります。当たるとすれば、原則としてあらかじめ本人の同意が必要です。

実務では、AI事業者が個人データを取り扱わない契約となっている場合(いわゆるクラウド例外)や、委託として構成する場合には、本人の同意なしに利用できると整理されています。いずれにしても、利用規約や契約の内容を確認したうえで判断することになります。

また、主要な生成AIサービスの多くは海外の事業者が提供しています。外国にある第三者への個人データの提供には、個人情報保護法第28条による別の規律がかかります。

③ 営業秘密として守れなくなるおそれはないか

こちらは個人情報とは別の話です。原価の内訳、積算の根拠、独自の施工ノウハウ、図面といった情報は、不正競争防止法上の営業秘密として保護され得ます。ただし保護されるには、秘密として管理されていること(秘密管理性)が必要です。

社員が自由に生成AIへ貼り付けられる状態を放置していると、「秘密として管理する意思が従業員に認識できる状態だったのか」が問われかねません。いざ情報が外部に流出したときに、営業秘密としての保護を主張しにくくなるということです。

裏を返せば、「AIに入れてよい情報・いけない情報」を社内で決めて明文化しておくこと自体が、秘密管理性を裏づける材料になります。禁止のためのルールではなく、守るためのルールとお考えください。

「AI新法ができたから対応が必要」ではありません

2025年5月28日に「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」(いわゆるAI新法)が成立し、同年9月1日に全面施行されました。

ただしこの法律は基本法としての性格が強く、規定の多くは国や地方公共団体を対象としたものです。事業者に課されているのはAI活用に努める努力義務と国の施策への協力であって、違反に対する罰則は設けられていません。

のしいか所長

「AIの法律ができたそうだが、うちは何をすればいいのか」というご相談をいただきますが、当面気にすべきは個人情報保護法と不正競争防止法のほうです。新しい法律よりも、これまでの枠組みで考えるほうが実務に即しています。

士業に預けた情報はどうなるのか

行政書士は行政書士法第12条、社会保険労務士は社会保険労務士法第21条により、業務上知り得た秘密を漏らしてはならない守秘義務を負っています。この義務は、資格を離れた後も続きます。

当事務所でも業務に生成AIを利用していますが、お客様の個人情報や業務上の秘密にあたる情報は入力しない運用としています。あわせて、入力内容が学習に利用されない設定であることを確認しています。許認可の申請書類にも労務の書類にも、お客様と従業員の方の情報が詰まっているためです。

のしいか所長

士業に依頼される際は、その事務所が生成AIをどう扱っているかを尋ねていただいて構いません。答えられない事務所に、大切な情報を預ける必要はないと思います。

今日からできる3つのこと

  • 「入れてよい情報・いけない情報」をA4一枚のルールにまとめ、社内に周知する
  • 使っている生成AIサービスの利用規約で、入力内容が学習に使われるかを確認する
  • 学習に使われない契約形態(法人向けプラン等)を選び、個人の無料アカウントでの業務利用は避ける

とくに3つ目が抜けがちです。担当者が個人のアカウントで業務資料を扱っていた、という事例は珍しくありません。ルールをつくる前に、まず誰が何を使っているかの棚卸しから始めてください。

のしいか所長

生成AIは、使わないという選択より、決めて使うほうが現実的です。禁止すると隠れて使われるだけで、かえって管理できなくなります。

のしいか所長

社内ルールの整備や、就業規則への位置づけについてもご相談を承っております。どうぞお気軽にお声がけください。

参考

個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(令和5年6月2日)
https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/230602_AI_utilize_alert/
内閣府「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」
https://www8.cao.go.jp/cstp/ai/ai_act/ai_act.html

最終更新日:2026年8月20日(全面的に書き改めました)

ー紺野事務所へのお問い合わせは ー

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建設業
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紺野 貴裕
所長
紺野貴裕事務所 所長/株式会社コンノシステム経営研究所 取締役。行政書士。全能連認定マスター・マネジメント・コンサルタント(J-MCMC/国際資格CMC)。一般社団法人千葉県能率協会 代表理事。千葉県松戸市を拠点に、建設業許可・経営事項審査・入札参加資格から、人事労務・事業承継まで、中小企業の実務を一貫して支援しています。
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© 紺野貴裕事務所・株式会社コンノシステム経営研究所・労働保険事務組合青経会.

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