のしいか所長柏市が令和8年7月29日に、認定こども園と小規模保育事業の運営費について説明会を開きました。



移行したら収入がどうなるのか、そこがいちばん知りたいところなんだが・・



その資料に柏市が自ら示した試算が載っています。定員19人の小規模保育で年約6,068万円、定員218人の認定こども園で年約2億1,743万円。数字から入りましょう。
運営費は「単価×在籍児童数」で決まります
認定こども園・小規模保育事業の主な収入は、公定価格と柏市の補助金の二本立てです。公定価格の算出方法は、次のとおりです。
公定価格 = 子ども1人当たりの単価 × 在籍児童数
ただし、公定価格の全額が市から入るわけではありません。公定価格 − 保育料(利用者負担額・園が徴収) = 施設型給付費(市から園へ支払い)という関係です。公定価格は子ども1人当たりにかかるコストなので、園が徴収した保育料を差し引いた額が市から支払われます。
柏市の試算 ― 年いくらになるのか
説明会資料には、柏市自身による二つの試算が示されています。いずれも毎月定員が在籍すると仮定し、令和7年度の平均単価を使ったものです。
小規模保育事業(定員19人)
| 区分 | 月合計 | 年額 |
|---|---|---|
| 0歳児3人・1歳児8人・2歳児8人 | 5,057,056円 | 60,684,672円 |
認定こども園(1号108人・2・3号110人)
| 区分 | 月合計 | 年額 |
|---|---|---|
| 1号(3歳以上) | 6,957,684円 | — |
| 2・3号(0歳〜5歳) | 11,161,909円 | — |
| 合計218人 | 18,119,593円 | 217,435,116円 |
柏市はいま、どういう状況か
移行の判断には、地域の需給を読むことが欠かせません。令和8年7月1日時点で、柏市の認可保育施設は126園、利用定員は2号6,076人・3号4,009人です。
| 施設種別 | 施設数 | 2号 | 3号 |
|---|---|---|---|
| 公立保育園 | 22園 | 1,803人 | 970人 |
| 私立保育園 | 60園 | 2,556人 | 2,066人 |
| 幼保連携型認定こども園 | 19園 | 1,442人 | 631人 |
| 幼稚園型認定こども園 | 5園 | 275人 | — |
| 小規模保育事業A型 | 20園 | — | 342人 |
注目すべきは、その先の数字です。柏市の就学前児童数は令和3年度の21,285人から令和8年度の19,098人へ、5年で2,187人(約10%)減っています。ところが保育の申込者数は9,022人から10,661人へ、逆に1,639人(約18%)増えています。



幼稚園にとっては厳しい数字です。ただ裏を返せば、保育の受け皿になることには、まだ需要があるということでもあります。
移行には三つの型があります
柏市の資料は、幼稚園からの移行を三つに整理しています。整備費補助金の有無が、判断を大きく左右します。
| 移行種別 | 整備費補助金 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 幼保連携型認定こども園 | なし | 0歳から就学前まで1施設で完結 | 開所日・開所時間の延長/必要工事は自己負担 |
| 幼稚園型認定こども園 +小規模保育事業A型 | 小規模保育事業A型の整備分のみ | 現幼稚園設備で移行可能/整備費補助金あり/同法人施設間での連携が可能 | 開所日・開所時間の延長/2施設分の事務負担 |
| 幼稚園型認定こども園 | なし | 現幼稚園設備で移行可能 | 開所日・開所時間の延長 |
三つに共通するデメリットが「開所日及び開所時間の延長」です。認定こども園では、保育認定の子どもに対して日曜・祝日を除き1日11時間以上の開所が求められます。夏休みも含めてです。これは制度の話ではなく、職員の勤務の話になります。
二つの類型の違い
| 類型 | 対象児童 | 特徴 |
|---|---|---|
| 幼保連携型 | 0歳児(1歳児)〜5歳児 1号・2号・3号 | 幼稚園的機能と保育所的機能の両方をあわせ持つ単一の施設。基準を満たす乳児室・調理室があれば施設改修が不要の可能性 |
| 幼稚園型 | 3歳児〜5歳児 1号・2号 | 認可幼稚園が保育時間を確保するなど保育所的機能を備えた施設。既存幼稚園から移行する場合、施設改修が不要の可能性 |
小規模保育事業A型には整備費補助金があります
三つの型のうち、補助金が出るのは小規模保育事業A型の整備分だけです。ここが実務上の分かれ目になります。
A型の要件は次のとおりです。
- 対象は0〜2歳児、定員6〜19名(柏市の資料では、利用定員の弾力化により最大22名まで受入れ可)
- 日曜・祝日を除き1日11時間以上の開所
- 職員は保育士(保健師または看護師の特例が1人まで)
- 設備基準は0・1歳児が1人当たり3.3㎡、2歳児が1.98㎡。ほかに沐浴設備、調理設備、乳幼児用便所等
- 保育内容の支援と卒園後の受け皿のため、連携施設の設定が必要
整備費補助金の額
公募で選定された事業者に交付されます。対象経費は改修工事費、設計監理料、整備期間中の賃借料、備品費等(工事契約・備品契約は入札により決定)。
令和8年度の補助基準額 29,287,000円
対象経費と補助基準額を比較して低い方の額の4分の3が交付額
運営費のほかに、市の補助金があります
見落とされがちですが、柏市には独自の補助制度があり、これが人件費の相当部分を支えます。令和8年度の主なものを挙げます。
| 事業 | 金額 |
|---|---|
| 施設運営管理事業 | 月初日在籍児童数× 1号1,800円/2号4,980円/3号5,370円(月額) |
| 処遇改善事業 | 正規保育士43,000円/人月 非正規保育士20,000円/人月 |
| 予備保育士設置事業 | 保育士265,800円/人月 子育て支援員208,000円/人月 |
| 宿舎借り上げ支援事業 | 基準額74,000円/月(補助率3/4・採用から5年以内の者) |
| 就職支援補助金 | 1人当たり100,000円(1回のみ) |
処遇改善事業は、1日6時間以上かつ月20日以上勤務する正規保育士が対象です(法人の経営に携わる施設長は除く)。正規保育士20人なら、年間で1,032万円になります。採用の力になる制度です。このほか看護師等配置事業、弾力入所実施事業、一時預かり事業、ICT化推進事業などもあります。
今日から着手したい5つの点検
- いまの在籍数を1号・2号・3号に振り分けたら何人になるか、紙に書き出す
- 1日11時間以上・日曜祝日以外の開所を、いまの職員体制で回せるかを試算する
- 調理室が自園調理の基準を満たすか、建築の専門家に見てもらう
- 小規模保育A型を置ける空き教室や土地があるかを確認する
- 柏市の公募がいつ出るか、保育運営課に確認しておく



本記事の数値は、柏市が令和8年7月29日の説明会で示した資料によるものです。単価も補助金も年度ごとに変わります。実際にご検討の際は、必ず最新の資料で確かめてください。



移行の判断材料の整理、柏市への事前相談、認可・認定申請についてご相談を承っております。どうぞお気軽にお声がけください。
参考
最終更新日:2026年8月31日 / 数値は令和8年度のものです。単価・補助金額は年度ごとに改定されます。
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