のしいか所長令和8年度の最低賃金が出そろいました。東京・埼玉・千葉は10月1日から。ただ、茨城だけ日が違います。



うちは松戸の本社と、三郷に営業所がある。どちらの金額で計算すればいいのかね・・



それぞれの事業場の所在地で決まります。松戸は千葉県、三郷は埼玉県。同じ会社でも、二つの金額を使い分けることになります。
4都県の一覧
| 都県 | 改定後 | 引上げ額 | 発効日 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 1,280円 | +54円 | 令和8年10月1日 |
| 埼玉県 | 1,196円 | +55円 | 令和8年10月1日 |
| 千葉県 | 1,195円 | +55円 | 令和8年10月1日 |
| 茨城県 | 1,136円 | +62円 | 令和8年10月18日 |
東京都と千葉県は、9月1日にそれぞれの労働局が官報公示を済ませています。埼玉県も労働局が10月1日からの額を公表済みです。茨城県は9月3日時点で答申の段階で、異議申出の手続を経てから正式に決まります。
千葉と埼玉が、1円差になりました
埼玉県1,196円、千葉県1,195円。その差、1円です。東葛エリアで働く方にとっては、江戸川を渡るかどうかで時給が1円違う、というだけの話になりました。
適用されるのは労働者が働いている事業場の所在地の最低賃金です。本社がどこかではありません。複数の県に事業場をお持ちの会社は、事業場ごとに確認してください。



賃金改定の作業は、9月のうちに済ませておいてください。締め日が月末でない会社は、10月1日が給与計算期間の途中に来ます。20日締めなら、9月21日〜30日と10月1日〜20日を分けて確かめることになります。



もう一つ。最低賃金に届かない方だけを機械的に上げると、その少し上の方との差が詰まります。1年目と3年目が同じ時給になっていないか、あわせてご覧ください。毎年これを繰り返すと、賃金表が下からつぶれていきます。
茨城県だけ、日が違います
茨城県の発効予定日は令和8年10月18日。他の3都県より17日遅れます。そして引上げ額は+62円と、4都県でいちばん大きいのです。
実務で気をつけたいのは、給与計算期間の途中で額が変わる点です。月末締めの会社なら、10月分の給与は10月1日〜17日は改定前、10月18日以降は改定後で確かめることになります。
どの賃金で比べるのか
最低賃金と比べるのは、毎月支払われる基本的な賃金です。支払っている総額ではありません。次の6つは、比べる際に算入しません。
- 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
- 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
- 所定労働時間を超える時間の労働に対する賃金(時間外割増賃金など)
- 所定労働日以外の労働に対する賃金(休日割増賃金など)
- 午後10時から午前5時までの深夜割増賃金の超過部分
- 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
6つ目にご注意ください。通勤手当と家族手当は、最低賃金の計算に入りません。「通勤手当込みで時給1,200円だから大丈夫」という数え方は誤りです。月給制の方も、時間額に換算して比べます。



この家族手当が、10月1日からもう一つの意味を持ちます。パート・有期雇用のルール改正で、家族手当をパートの方にも支給しなければならない場合が明記されました。同じ日に効きます。


産業別最低賃金という、もう一つの網
見落とされやすいのが特定(産業別)最低賃金です。特定の産業の基幹的な労働者に、都道府県ごとに別建てで定められています。ルールはこうです。
地域別と特定(産業別)の両方の最低賃金が同時に適用される労働者には、使用者は高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。
ここで今年は、面白いことが起きます。地域別が大きく上がった結果、産業別を追い越す業種が出るのです。茨城県の例で見てみます。
| 茨城県の特定最低賃金 | 額 | 10月18日以降は |
|---|---|---|
| 鉄鋼業 | 1,166円 | 産業別が適用(1,166円) |
| 計量器・測定器・分析機器等製造業 | 1,115円 | 地域別が適用(1,136円) |
| はん用機械器具・生産用機械器具・業務用機械器具製造業 | 1,105円 | 地域別が適用(1,136円) |
払わなかった場合
| 違反の種類 | 根拠 | 罰則 |
|---|---|---|
| 地域別最低賃金を下回った | 最低賃金法第40条 | 50万円以下の罰金 |
| 特定最低賃金を下回った | 労働基準法第120条 | 30万円以下の罰金 |
最低賃金より低い金額で合意した契約は、その部分が無効になり、最低賃金額で契約したものとみなされます。本人の同意があっても効きません。不足分は遡って支払うことになります。
10月1日までにやること
- 事業場ごとに、どの都県の最低賃金が適用されるかを一覧にする
- 時給者の一覧を出し、改定後の額を下回る方を抜き出す
- 月給者は通勤手当・家族手当・精皆勤手当を除いて時間額に換算して確かめる
- 該当する産業なら、特定最低賃金と比べて高いほうを確認する
- 茨城県の事業場は、改定日を10月18日としてカレンダーに入れる



10月1日は、パート・有期雇用のルール改正と重なります。賃金台帳と労働条件通知書を、一度にまとめてお直しになるのが手戻りがありません。



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参考
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最終更新日:2026年9月3日
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