のしいか所長9月15日、環境省が廃棄物処理法施行規則の一部を改正する省令を公布しました。施行は翌9月16日。もう動いています。



公布の翌日に施行かい。ずいぶん急だね



急ぐ理由があります。6月に成立した法律の施行期日が「公布から3か月以内」と決められていました。災害はいつ来るか分からない——その前に間に合わせた、ということです。
今回の改正は非常災害廃棄物、つまり災害で出るごみの処理についてのものです。令和8年8月の千葉豪雨を経験したばかりの県にとっては、他人事ではありません。産業廃棄物処理業の許可をお持ちの事業者様には、新しい制度が1つ増えました。
まず、日付を整理します
| いつ | 何があったか |
|---|---|
| 令和8年6月19日 | 廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律(令和8年法律第43号)が公布 災害廃棄物関係は「公布の日から3か月を超えない範囲内において政令で定める日」に施行 |
| 令和8年7月3日〜8月8日 | 省令案のパブリックコメント(意見22件) |
| 令和8年9月11日 | 施行令の改正政令と、施行期日を定める政令を閣議決定 |
| 令和8年9月15日 | 施行規則の一部を改正する省令を公布 |
| 令和8年9月16日 | 施行(省令の附則で定められています) |
公布の翌日に施行です。経過措置の余裕がある改正ではありません。きょうの時点で、新しい制度はすでに動いています。
なぜ変えたのか ―― 能登の教訓です
環境省が法律案の段階で挙げた課題は、3つでした。
- 仮置場の候補地や、災害廃棄物の推計量といった事前計画が足りない
- 民間の廃棄物処理場の活用が停滞した
- 被災自治体に、人員と専門的な知見が足りない
令和6年の能登半島地震では、JESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)が537人・日を派遣しています。それでも足りなかった、というのが今回の出発点です。2つ目の「民間の処理場の活用が停滞した」——ここが、産業廃棄物処理業の事業者様に直接かかわる部分です。
改正の中身は、大きく5つです
| 内容 | 誰に関わるか | |
|---|---|---|
| 1 | 非常災害廃棄物最終処分場の指定制度(新設) 施行規則 第5条の10の22〜24 | 最終処分場の設置者 |
| 2 | 都道府県・市町村と処理業者の協定の記載事項を省令で規定 同 第1条の2の3、第1条の21 | 自治体と処理業者 |
| 3 | 再委託・再々委託ができるようになりました 同 第1条の7の6 ほか | 市町村から受託した事業者 |
| 4 | 産業廃棄物処理施設の特例の対象を追加 同 第12条の7の16 | 産廃処理施設の設置者 |
| 5 | 市町村の一般廃棄物処理計画に非常災害時の施策を追加 | 市町村 |
1 非常災害廃棄物最終処分場の指定 ―― 今回の目玉です
新しく作られた仕組みです。都道府県知事が、一般廃棄物の最終処分場等のうち基準に適合するものの設置者を、申請にもとづいて「非常災害廃棄物最終処分場の設置者」として指定できるようになりました。
| 誰が指定するか | 都道府県知事 |
| 申請するのは | 最終処分場等の設置者(申請にもとづく制度です) |
| 申請に書くこと | 申請者の氏名・住所、処分場の設置場所、種類、埋立容量 など 施行規則 第5条の10の22 |
| 指定されると | 非常災害廃棄物の処分の委託を求められたとき、正当な理由がある場合を除いて、受けなければなりません |
| 見返り | 定期検査が免除されます |
| 指定の更新 | 5年(施行令で定められました) |
ここは、よく読んでいただきたいところです。指定は「取れば得をする許可」ではなく、義務と免除がセットになった制度です。災害時に断りにくくなる代わりに、平時の定期検査が免除される。この交換条件をどう見るかは、処分場ごとの判断になります。
2 協定に、書くべきことが決まりました
改正法で、都道府県と市町村は、廃棄物処理業者等との間で非常災害廃棄物の処理に関する協定を締結するよう努めなければならないことになりました。努力義務です。
今回の省令は、その協定に何を書くかを定めました。必須の記載事項は3つです。
- 締結者(協定に参加する者の氏名・名称)
- 支援要請の手続
- 処理の内容
既にある協定は、どうなるのか。ここもパブリックコメントで質問が出ていました。千葉県の場合、災害廃棄物に関する協定は平成15年9月の締結です。20年以上前のものですから、省令で定められた記載事項を満たしているかどうかは、点検してみないと分かりません。
3 再委託・再々委託ができるようになりました
廃棄物処理法では、再委託は原則として禁止です。委託を受けた者が、さらに他人に丸投げすることを認めていません。ここが今回、非常災害廃棄物に限って緩められました。
市町村から非常災害廃棄物の処理の委託を受けた者等は、市町村が一般廃棄物の処理を市町村以外の者に委託する場合の基準等に従う場合に限り、当該非常災害廃棄物の処理を他人に再委託又は再々委託することができる
「限り」という条件つきです。何でも回していいという話ではありません。施行規則には、収集・運搬と処分をまとめて委託しないこと、再受託者の要件、監督といった基準が置かれました。災害時だからこそ、記録を残してください。あとで問われるのは、いつも書類です。
4 産業廃棄物処理施設の特例が広がりました
産業廃棄物処理施設の設置者が、そこで一般廃棄物も処理できるようにする特例があります。今回、その対象に次のものが加わりました。
最終処分場において、安定型産業廃棄物と同様の性状を有する一般廃棄物(非常災害廃棄物であるものに限る。)
施行規則 第12条の7の16
5 市町村の計画に、災害の章が加わります
市町村が定める一般廃棄物処理計画に、非常災害時における一般廃棄物の適正な処理等に関する施策を書くことになりました。
事業者様から見ると、これが仕事につながる部分です。市町村が計画を作り直すとき、仮置場の候補地と、処理を担う事業者の当てを書き込むことになります。その「当て」に入っているかどうか。協定の努力義務と合わせて、これから自治体が動く年になります。
千葉県は、どうなっているか
県の公表している情報から拾います。
| 千葉県の現状 | |
|---|---|
| 災害廃棄物処理計画 | 平成30年3月策定 |
| 協定 | 災害廃棄物に関する協定(平成15年9月) |
| 大規模災害時のし尿及び浄化槽汚泥の支援協定(平成19年8月) | |
| 災害時における復旧・復興等事業の支援業務の実施に関する協定(令和7年3月) |
計画は平成30年、いちばん古い協定は平成15年です。改正法で協定の締結が努力義務になり、省令で記載事項が定まった以上、県も市町村も、既存の協定と計画を見直すことになります。そのとき、声がかかる先に入っているかどうか。
で、いま何をすればよいか
- 最終処分場をお持ちなら、指定制度を検討する 定期検査の免除と、災害時に断りにくくなることの交換です。ただし施行通知を待ってからで構いません
- 自治体と協定を結んでいるなら、記載事項を照らす 締結者・支援要請の手続・処理の内容。古い協定ほど、抜けがあります
- まだ協定がないなら、これが入り口です 県と市町村に努力義務がかかりました。自治体の側から探している年だとお考えください
- 安定型最終処分場をお持ちなら、特例の対象を確認する 災害時に受け入れられる範囲が広がりました
- 施行通知を待つ 協定のひな型、申請様式、「正当な理由」の考え方。いずれも施行通知で示されます



災害のときの話だから、うちには関係ないと思っていたよ



千葉は、去年の8月に豪雨を経験したばかりです。そして国は「民間の処理場の活用が停滞した」ことを課題に挙げました。次に何かあったとき、頼られる側に名前が載っているかどうか——今回の改正は、そこを整える話です。



産業廃棄物処理業の許可申請・更新・変更、非常災害廃棄物最終処分場の指定申請、自治体との協定に関するご相談を承っております。松戸市・柏市をはじめ千葉県内、東葛地域を中心にお手伝いしております。どうぞお気軽にご連絡ください。
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参考
最終更新日:2026年9月17日 / 本記事は令和8年9月17日時点で環境省が公表している情報にもとづいています。協定のひな型、指定申請の様式、「正当な理由」の考え方などは、今後の施行通知で示される予定です。実際の申請や協定の締結にあたっては、必ず環境省の最新資料と、千葉県・所在市町村のお知らせをご確認ください。
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