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施設型給付幼稚園のデメリット|新制度に移行して失うもの

2026 9/10
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幼稚園・こども園
2026-08-27
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  4. 施設型給付幼稚園のデメリット|新制度に移行して失うもの
のしいか所長

「新制度に移ったほうがいいのか」というご相談を、幼稚園の理事長先生から続けていただいています。

収入は安定すると聞くが、いろいろ縛られるとも聞く。実際のところ何が変わるのか、はっきり知りたい・・

のしいか所長

この記事では、あえて移行して失うもののほうから整理します。よい面は各所で語られていますので、判断に必要なのはむしろこちら側だと考えるためです。

目次

前提 ― 移行するかどうかは園が決めます

私立幼稚園が子ども・子育て支援新制度に移行して施設型給付を受けるかどうかは、各幼稚園の判断に委ねられています。移行の時期も制度施行時に限られず、いつでも可能とされています。

移行しない場合の財政支援は、従来どおり私学助成で行われます。まず、二つの立ち位置の違いを並べます。

項目私学助成のまま施設型給付へ移行
公費の入り方私学助成(一般補助)公定価格による施設型給付費
保育料を決めるのは園市町村
3〜5歳児クラスの無償化月額2.57万円まで上限なし(無料)
市町村の確認不要必要(特定教育・保育施設)
指導監査—定期的かつ計画的に実施

この表の右列の下三行が、そのままデメリットの中身です。順に見ていきます。

① 保育料を自分で決められなくなります

これが最も大きな変化です。施設型給付に移行すると、保育料にあたる利用者負担額は市町村が定めます。国が定める上限額の範囲内で、市町村が所得に応じた階層を設定します。

同一市町村内で教育標準時間認定を受けて私立幼稚園に通う子どもの利用者負担額は、同じ所得状況であれば、同じ額となります
(こども家庭庁 幼稚園関係者向けQ&A)

つまり、同じ市内の他園と、保育料で差がつかなくなります。教育内容に自信があり、それを保育料に反映させてきた園にとっては、価格による位置づけを失うことを意味します。

上乗せ徴収は残りますが、説明が要ります

公定価格では賄えない費用がある場合、上乗せ徴収(特定負担額)として保護者から徴収することはできます。ただしその額や徴収方法を検討したうえで、園児募集の際に保護者へ説明することが前提とされています。

「今年から少し上げます」という運用はできなくなるとお考えください。募集要項に書き、説明した内容が、そのまま翌年度の枠になります。

なお通園送迎費、食材料費、行事費などの実費は、移行後もこれまでどおり保護者の負担です。年収360万円未満相当の世帯と、全世帯の第3子以降については副食費が免除されます。

満3歳児は無償化の対象外です

無償化の対象は満3歳になった後の最初の4月から小学校入学前までの3年間です。誕生日を迎えてから年度末までの満3歳児クラスは、対象になりません。この期間の利用者負担額も市町村が定めることになります。満3歳児入園に力を入れてきた園ほど、影響を受けます。

② 市町村の「確認」を受け、運営基準に従います

施設型給付を受けるには、市町村から特定教育・保育施設としての確認を受ける必要があります。確認を受けた施設は、「特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準」(内閣府令)に従って運営することになります。

運営基準は、次のような場面ごとに定められています。

  • 利用開始に伴う基準
  • 教育・保育の提供に伴う基準
  • 管理・運営等に関する基準
  • 撤退時の基準

あわせて利用定員を設定します。施設型給付の対象となるのは満3歳以上の子どもに限られます。定員は市町村が定める子ども・子育て支援事業計画のもとに置かれることになりますので、園の判断だけで増減できる数字ではなくなります。

「撤退時の基準」がある点にもご注意ください。入るときだけでなく、やめるときにも手続が要る仕組みです。移行は、片道の判断に近いものとお考えいただくのが実務的です。

③ 指導監査が入ります

確認を受けた施設は、指導監査の対象になります。すべての特定教育・保育施設等を対象に、定期的かつ計画的に実施することとされています。

形は二つあります。

形内容
集団指導設置者等を一定の場所に集め、講習等の方法により行う
実地指導園に出向いて質問等を行い、必要と認める場合に内閣府令等の遵守に関して指導する

そして、著しい運営基準違反があって子どもの安全に危害を及ぼすおそれがある場合、または施設型給付費等の請求に不正が認められる場合には、指導から監査へ切り替えられます。公費で運営費が賄われる以上、当然の仕組みではありますが、私学助成のもとでの感覚とは相当に違います。

④ 加算をとるための事務が増えます

公定価格には、職員の配置状況や事業の実施体制に応じた各種の加算が用意されています。ただし加算は自動的についてくるものではありません。申請し、計画を出し、実績を報告して初めて確定します。

代表が処遇改善等加算です。令和7年度から、従来のⅠ・Ⅱ・Ⅲが一本化され、区分1(基礎分)・区分2(賃金改善分)・区分3(質の向上分)に再編されました。

区分2・3で必要になる書類
キャリアパス要件届出書/賃金改善計画書/賃金改善実績報告書

キャリアパス要件は、職位・職責に応じた勤務条件や賃金体系を書面で整備し、全職員に周知すること、そして資質向上の目標と研修の計画・実施が求められる内容です。区分3の対象者には、別に定める研修の修了が必要です。

つまり、賃金規程と研修計画を整え、毎年、計画と実績を突き合わせて報告することになります。これを園長先生おひとりで抱えると、必ず苦しくなります。事務職員の体制まで含めて考えるべき論点です。

では、なぜ移行するのか

デメリットばかり並べましたので、反対側も置きます。移行を選ぶ理由は、大きく二つです。

  • 3〜5歳児クラスの保育料が、上限なく無償になる。私学助成のままでは月額2.57万円が上限で、園の保育料がこれを超える分は保護者の負担として残ります
  • 事業運営に最低限必要な人件費・管理費・事業費が、園児の数に応じて措置される。加算を積み上げれば、体制づくりが収入に反映されます
のしいか所長

保育料の水準が高い園ほど、無償化の上限差は大きく効きます。保護者にとっての負担額が、そのまま園の競争条件になっているのが現状です。

判断の分かれ目

こういう園は移行が向きますこういう園は慎重に
保育料が2.57万円を超えており、保護者の負担が残っている保育料が2.57万円以下で、無償化の差がほとんど出ない
園児数が安定していて、定員を大きく動かす予定がない満3歳児入園や定員の増減で、機動的に動きたい
事務を担える職員がいる、または増やす用意がある事務が園長・主任に集中している
賃金規程と研修計画がすでに整っている賃金の決め方が慣行で、書面になっていない

左右のどちらが多いかで、おおよその方向は見えます。ただし利用者負担額の階層も、定員の扱いも、市町村ごとに違います。最終的には、園のある市町村の担当課に当てて確かめる必要があります。

今日から着手したい5つの点検

  • いまの保育料と、市町村が定める利用者負担額の階層を並べて比べる
  • 上乗せ徴収で確保したい額を試算し、募集要項に書ける文章にしてみる
  • 満3歳児の在籍数と、その保育料収入がいくらかを確認する
  • 賃金規程と研修計画が書面になっているかを点検する
  • 市町村の子ども・子育て支援事業計画で、地域の需給見込みを読む

1と3は、いまの帳簿から半日で出ます。数字を出さないまま議論すると、印象だけの話になります。まずここから始めてください。

のしいか所長

なお、認定こども園への移行を希望される場合は、認可・認定の基準を満たす限り、原則として認可・認定が行われる特例が設けられています。あわせてご検討いただく価値があります。

のしいか所長

移行の判断材料の整理、市町村への事前相談、賃金規程や研修計画の整備についてご相談を承っております。どうぞお気軽にお声がけください。

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参考

こども家庭庁「子ども・子育て支援新制度」
https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/sukusuku
こども家庭庁「幼児教育・保育の無償化」
https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/mushouka/about/
こども家庭庁「私立幼稚園の新制度への移行について」
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/59cb59b3-ce0e-4a4f-9369-2c25f96ad376/aa54cd84/20230929_policies_kokoseido_outline_11.pdf
こども家庭庁「【幼稚園に関すること】よくある質問」
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/c47709ef-8880-42e6-bb7e-9818b6b728c5/fb0fc8d0/20230929_policies_kokoseido_jigyousha_49.pdf
こども家庭庁「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について(令和7年度以降)」
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/3a1576c7-071d-4325-8be8-edced6d12ee1/649c9edc/20251006_policies_kokoseido_145.pdf
特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準(内閣府令)
https://laws.e-gov.go.jp/law/426M60000002039

最終更新日:2026年8月26日

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施設型給付 認定こども園

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所長
紺野貴裕事務所 所長/株式会社コンノシステム経営研究所 取締役。行政書士。全能連認定マスター・マネジメント・コンサルタント(J-MCMC/国際資格CMC)。一般社団法人千葉県能率協会 代表理事。千葉県松戸市を拠点に、建設業許可・経営事項審査・入札参加資格から、人事労務・事業承継まで、中小企業の実務を一貫して支援しています。
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